粟沢川で浸水作業


乾燥作業
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暑中信州寒晒蕎麦


 高遠発祥の将軍家献上品
 元祖「寒晒し蕎麦」をお召し上がりください

「暑中信州寒晒蕎麦」の製法

元禄十年(1697)刊の『本朝食鑑』にその製法について、「臘月(陰暦十二月)、殻のついたままのよく実った蕎麦を俵に詰め、三十日間 水に浸し、立春の日に取り出し、日光にさらし、乾してから、俵に入れ、冷所で保存し、食べるときは必要な量だけを取り出し製粉する」と記載されています。

この製法にのっとり、長谷(旧高遠藩領地)の分杭峠(パワースポットとして非常に有名です。)のふもとを流れる粟沢川に玄ソバを“寒の入り”である“小寒”の日に浸し、30日間経過した“寒の明け”の“立春”の日に取り出し、日光と寒風にさらしながら約2週間?1カ月間ほど乾燥させて製造します。

寒晒しを行うことによる効果は次の3つがあると言われています。

1.雑味(アク)が抜ける
流水により水溶性たんぱく質が抜けだすと言われています。
しかし、科学的な実験の結果ではタンパク質総量の流失を認められておりません。
ただ、味に関係する遊離アミノ酸の組成が変化することや、ポリフェノールが減少し、
カルシウムや鉄が増加することはわかっており、それが雑味の抜ける原因である可能性が
示唆されております。
※進藤ら(2001)「寒晒し処理によるソバの成分変化」による
2.甘みが増す
玄ソバが水分を吸うことで、玄ソバ中のαアミラーゼが活性化し、玄ソバのデンプンを
加水分解し、糖に変えます。
この作用は発芽の準備作業です。デンプンを糖に変えることで、発芽に必要なエネルギー
を作り出しています。

水中にある限り発芽に必要な酸素量が不足するため、発芽作用は始まりませんが、
水から引き揚げ寒風で乾かす際に、この発芽に向かって動き出します。
その際にデンプンを糖に変える作用が起きるわけですが、その結果、どの程度
甘くなるかについてもまだ解明はされていません。


高遠そば組合

長野県伊那市高遠町小原


3.食感がモチモチシコシコに変わる
デンプン質の形質が変化することにより、そのような変化が起こるものを思われますが、こちらについても科学的な解明はまだ不十分です。